フランス料理史に 新たな1章を書き加える 老舗カフェ「フーケッツ」

  グランシェフの名は、ジャン・イヴ・ローランゲ。MOF(フランス最優秀料理人賞)に選ばれ、南仏カンヌでグランシェフの地位を確立した彼は、2003年「フーケッツ」の総料理長に就任するためにパリにやって来た。彼は、老舗カフェ部門のカフェとレストラン、ホテル部門の2つのレストラン、ラウンジカフェ、ルームサービスと6つの料理セクションの料理を毎日個別にデザインし、監督するという離れ業をこなす。「フーケッツの伝統を大切に守ることを信条にする」とローランゲは語るが、その一方で、世界のビジネスマンが多く利用するようになった今、様々な素材を世界中から空輸し、南仏風の軽やかなテーストで多彩に料理をプロデュースするグランシェフ・スタイルに進化させている。

  

FOUQUET’S BARRIERE フーケッツ バリエール 46 Avenue Georges Ⅴ 75008 Paris 46 ジョルジュ Ⅴ世大通り パリ8区 Tel 01 40 69 60 00  Fax 01 40 69 60 05 (最寄のメトロ)1番線 ジョルジュサンク(Georges Ⅴ)駅 (出口)シャンゼリゼ通とジョルジュサンク通交差点

パリのシェフが通いつめる 高級調理器具店 「イ・ドゥイルラン」

  フランスでも調理の効率化を求め、キッチンはシステム化された電化設備に向かう。フランスのシェフが愛する赤銅鍋も電磁プレートでは使えず、全てステンレス製の鍋に替えるしかない。しかし、ステンレス鍋は熱伝導性で赤銅鍋にはかなわない。多種な高級食材を組み合わせ、高温調理化が主流となった今も、内側に錫を塗りなおし、230度の温度制限のある赤銅鍋を使い続けるシェフもいる。シェフの調理器具に対するニーズはますます多岐に及ぶ。そんなシェフたちの要求に応え続けているのが12世紀よりパリ中央市場があったレ・アール地区に200年近く店を構える高級調理器具店、イ・ドゥイルラン。当店へのシェフたちからの信頼は、1969年に市場がパリ郊外に移った今も何も変わらない。


E. DEHILLERIN イ・ドゥイルラン 18 & 20, rue Coquilliere 51, rue J.J. Rousseau 75001 Paris 18 & 20, コキリエール通り51 ジャンジャクルソー通り パリ1区 Tel 01 42 36 53 13 Fax 01 42 36 54 80 (最寄のメトロ)4番線 レ アール(Les Hall)駅 (出口)ランビュトウ(Rambuteau)通

料理器具店「モラ」は 老舗なのに、あくまでも親切!

  パリ市内レ・アール地区にあった中央市場沿いに1814年に創業の老舗の料理器具店「モラ」。その始まりは、ケーキの型を提供する店だった。多くのパティシエが訪れ、新しい料理法を語り、それに合った道具・器具を買い求めた。そのひとつひとつに、真剣にかつ親切に対応するうちに大評判となり、やがて料理全般の調理器具を取り扱うように。ついにはノルマンディー地方に大きな調理器具製造工場を建設するに至る。歴史の長さと品揃えの多さだけではなく、何よりの特徴は価格がリーズナブルなこと。今では、プロの職人だけではなく、新婚の二人があたらしく新居のための道具を揃えに来店するようにもなった。家族のように気軽に、調理に関してなんでも相談できる雰囲気が、この店の最大の魅力だ。

MORA モラ
13 rue Monymartre 75001 Paris 13 モンマルトル通り パリ1区 Tel 01 45 08 19 24 Fax 01 45 08 49 05 (最寄のメトロ)4番線 レ アール(Les Hall)駅 (出口)ランビュトウ(Rambuteau)通

革新的かつ正統的。フレンチを止揚する
「ズ キッチン ギャルリー」

  2008年、保守的なミシュランついに星を与えざるを得なかったレストランがここ「ズ キッチン(=これぞキッチン)ギャルリー」だ。パリ・シテ島の左岸、ポンヌフからグランオーギュスタン通りに入って、最初の角を南に折れてて徒歩5分にある。東洋と西洋の料理を、アート的に融合するウィリアム・ルディユの革新的料理が堪能できる。例えば、ショウガやキュウリを日本から空輸し、唐辛子と米酢と鶏のスープでスライスしたタマネギとともにビートを煮込み、アスパラガス、鮭の卵、アボカドをキュウリに詰め、ガスパチョに仕上げる。この料理から分かるように、ルディユは東西の素材を分解し、再構築し、フォンドヴォーのごとく、極めて安定性があるベースソースに仕上げるのだ。お見事!というしかない。

店長 キャトリーヌ モラーボンテ Catherine Morabonte □店長の名前(フランス語と日本語読み) ZE KITCHEN GALERIE ズ キッチン ギャルリー 4 rue Grands Augustins 75006 Paris グランオーギュスタン通り パリ6区 Tel 01 44 32 00 32  Fax 01 44 32 00 33 (最寄のメトロ)4番線 サンミッシェル駅(St-Michel) (出口)グランオーギュスタン(Grands Augustins)

 

 

今も多くのシェフがリスペクトする
創業330年「ダロワイヨ」の “魅惑を湛える不思議”

  フランスでは、惣菜・仕出し屋でキャリアを積んだグランシェフは少なくない。ホテル学校、職業訓練学校を卒業し、直ぐに高級フランス料理店でキャリアを積むことのできたシェフはまれだ。高級惣菜店のキッチンで修業を積み、調理に関する視野と経験を積んだシェフたちがいかに多いかを示すエピソードである。 ダロワイヨの共同経営者であるクリテル・ベルナルデは語る。「わたしたちのモットーは、“魅惑を湛える不思議”を提供すること。そしてそれは、ルイ14世の料理人だった時代から変わらないのです」と。その長き歴史とは対照的なモダンな2階のカフェで、淡い色目にしっかりとした甘みのピスタチオのマカロンひとつ口にするとき“魅惑を湛える不思議”を実感することになる。


DALLOYAU ダロワイヨ 99-101 rue du Faubowg Saint-Honoré 75008 Paris 99-101 フォーブール サントオノレ通り パリ8区 Tel 01 42 99 90 00 Fax 01 42 99 90 91 (メトロ)9番線サンフィリップドゥルール (Saint-Philippe-du-Roule)駅 (出口)フォーブール サント オノレ(Faubowg Saint-Honoré)通


撮影者 辻祥子