大山寺不動堂
鴨川の太平洋を一望する高蔵山の中腹にある当寺は、奈良時代に良弁僧正が開山したと伝わる。毎年2月3日の節分会で開帳される以外は非公開の、鎌倉時代後期造像の本尊、木造不動明王像を安置する不動堂は、江戸時代後期の享和2(1802)年に建てられた。その正面には「波の伊八」こと武志伊八郎作の竜が、堂宇を200年以上護る。
〒296-0232 千葉県鴨川市平塚1718
TEL:04-7093-3800(鴨川市生涯学習課)
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関連施設
小田原の石橋山(いしばしやま)の戦い(1180)に破れ、南房総の安房国、鋸南町(きょなんまち)に上陸した源頼朝(1147-1199)が、大山寺に再起を願い、成就したと言われる。室町時代、戦国時代にも、源氏を受け継ぐ、足利尊氏や里見八犬伝の里見氏の信仰を受ける。 | |
藤原道長が参詣した奈良の金峯山は、古代より山岳信仰の聖地。長狭(ながさ)平野から鴨川市街が一望できる大山寺も、また山岳信仰の聖地。伊八の龍が示すように、雨乞いをはじめとする祈願に対しマジカル・パワーが現れる! | |
伊八の生まれた房総半島南部は太平洋に臨み漁業が盛んで、多くの海産物が水揚げされる。水深5~20Mに群落を作るカジメの海中林は動物の住処となり、葉状部はアワビやサザエのエサとなる。 | |
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江戸時代里見氏改易(1614)後、旗本や天領などに分割された気候温柔で自然豊かな南房総・鴨川は、海の幸とともに山の農産品、お酒等が、大消費地の江戸に供給された―、古代からの漁業、鎌倉時代以降の農地開発、近世の江戸送り廻船の発展が、神仏への祈りとともにあった地域。 |