鴨川市小湊
水深30~150mの海底の岩や砂利に生息する鯛が、10~30mの浅瀬で、限られた海域に群れなし生息する鯛の浦。この現象は科学的に証明されてはいない。当地の鯛は日蓮生誕の縁起にまつわり、鎌倉期より地元のひとが餌を与え保護してきた。年間を通じ、遊覧船の船べりをたたくと、水面近くに群れをなして鯛が「おとづれ」る。
千葉県鴨川市小湊
TEL:04-7095-2318(小湊妙の浦遊覧船協業組合)
東博百選
畿内七道
千夜千冊
関連施設
小湊は、江戸時代には日本海の出羽国酒田(現・山形県酒田市)から津軽海峡、三陸沖、鹿島灘、房総半島を経て江戸に至る東廻り航路の避難港、(北風)風待ち湊。幕府は番所を設置し、廻船の援助と監視に当たった。 | |
小湊の鯛の浦の正式名称は、妙の浦。妙法蓮華経(法華経)に由来する。 法華経は、全ての生き物を仏に導く、成仏を目的にする経典。 世界遺産法隆寺創建の聖徳太子が、615年に自筆の法典注釈書、法華義疏(ぎしょ)で、日本で初めて紹介。現実生活を肯定する日本仏教の展開を方向付ける。 |
|
釈迦の死後1000年、悟りがなくなり正しい行いもなくなる末法(まっぽう)の時代と言われた鎌倉時代。 日蓮宗の宗祖、日蓮聖人は来世ではなく今を生きることの大切を説き、妙法蓮華経(法華経)への信仰に生涯を捧げる。 |
|
妙法蓮華経の妙。仏教の説法がやがて一つの妙(たえ)なる音となる時がある。教えが皮膚感覚で認識される妙なる音は、不思議で何とも言えないほど美しく感じられると、言われる。科学的に証明されない、浅瀬で鯛が群れなし生息する現象。そこには、避難する湊だった小湊の人情味溢れる現実生活の「音連れ」が関係しているのかもしれない。 |