当館は、上村松園、息子松篁、孫淳之、三代の作品を展示。松園作の「花がたみ」—世阿弥作同名狂言の継体天皇ご寵愛照日前(てるひのまえ)を描く。松園は優雅典雅の狂いを描く。狂人の顔は表情が変わらぬ能面に近く、空虚を描くのは難しい。狂人の眸(ひとみ)には不思議な光が現れ、その視線は空虚(うつろ)に向けら、空虚を対者とする。うつつの美は、また一つの日本の美だ。
〒631-0004 奈良市登美ヶ丘2-1-4
TEL:0742-41-6666
京都に生まれ美人画を描き、近代化の時代でも自らを絵師と名乗った上村松園(1875—1949)が、源氏物語の六条御息所の生霊を描いた作品。髪の端を噛んで振り返る青い顔。白地の着物に描かれた清楚な藤の花にからむ大きな蜘蛛の巣。執拗な怨念を不気味に暗示しながらも、化身となった生霊を品格を損なわずに造形化。
松園は、葉茶屋「ちきり屋」に生まれ、明治期京都下京の伝統文化に育まれ、京都画壇の正統四条派に学ぶ。竹内栖鳳に師事し「一点の卑俗もなく、清澄な香高い珠玉のような絵」を目指す。岡崎公園にある当館は、昭和天皇即位の礼を記念し開館、戦前は大礼記念京都美術館。所蔵は明治から平成までの日本画、洋画、工芸作品等。
〒606-8344 京都市左京区岡崎円勝寺町124
TEL:075-771-4107
本書は日本の古典的日記を紹介する。世界中でこれほど日記にひとの内実をかけている民族はいないという著者の考え。そして「奥の細道」の芭蕉にしても目新しいことを求めてはいない。古人が求めるものをひたすらに辿り求めたい、という「風雅の直・すぐなる交わひ」があると。それがまた「本歌取り」の技法のもとになると。
ドナルド・キーン 講談社学術文庫
Tags : 松伯美術館美術館
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