宮川長春(1682-1752)は、艶麗で気品ある肉筆美人画の絵師。有力者に支持され、版画はせず、絵絹が専門。菱川師宣に私叔し、立ち姿で身を反らしても垂直性の安定感を失わない堂々たる美人を描く。当館は戦乱を生き抜いた蜂須賀家の峻烈なる名品とともに、長春の弟子一笑の「江戸名所図」など庶民の美も所蔵。
〒770-0851 徳島市徳島町城内1-8
TEL:088-656-2525
江戸時代初期、懐月堂安度(生没年不詳)は工房を主宰し、筆に夜肉筆美人画を量産した。やや角張った顔立ち、広い額、切れ長の目、無造作な口。スタイル化して、太く、また細く衣服の形やシワを描く線。豊かなボディの美人画を特色とする。 そっと耳打ちする大きな遊女、小さな見習いの童女。様式化されたその美。
秀吉の四国征伐後播磨龍野より阿波に入った蜂須賀氏は、特産品を藩の専売化で経済を確立。藍は吉野川流域で生産され、藍玉として全国に出荷。この蜂須賀家と藍(あい)商人の経済力に支えられて、16世紀に兵庫・西宮神社で琉球の三味線を取り入れ誕生し、淡路島に伝播した人形浄瑠璃が、阿波で力強い芸風に育てていく。
〒770-8070 徳島市八万町向寺山 文化の森総合公園
TEL:088-668-3636
蒹葭堂は元文元(1737)年に大阪北堀江の酒造りと仕舞多屋を兼ねた家の生まれ。画人、博物学者であり、考証家でネットワーカー、文筆家で蔵書家で、文人墨客とサロン活動する。蒹葭堂は、産業と文化を切り離さなかった。産物と学問と芸術を分断しなかったのだ。
中村真一郎 新潮社
Tags : 博物館徳島城博物館
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